2013年4月6日土曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)パワーアップ!ロシアン・カルト


アップリンクのロシアンカルト・アンコール!

53日(金)~56日(月)渋谷・アップリンク

★「カルト」っていうほどレアな作品は実はなく、普通に人気作品群だと思って観ればよい。いつの日か、「収容所惑星」完全版がこういう企画のラインナップに入ることがあるのだろうか?

前回の特集上映にあって今回の上映から外れた作品は、「アエリータ」「火を噴く惑星」「痛ましき無関心」「静かなる一頁」「セカンド・サークル」「ストーン クリミアの亡霊」。あらあ、アレクサンドロフが、ロボットのジョン君が!!

★今回の上映に加わったのは「ベルリン陥落」と「UFO少年アブドラジャン」。ホリダおっかさん、待っていたわ。 

①「ドウエル教授の首」«Завещание профессора Доуэля»
レオニード・メナケル監督1984年ソ連

★ソ連のSF作家アレクサンドル・べリャーエフのデビュー作『ドウエル教授の首』(1926年刊)の映画化。なんとも恐ろしい科学実験を平気でやってしまう人たちがいるものだが、原作者のべリャーエフは、そしてメナエル監督も、当時のソ連の「科学によって人間社会は無限に進歩していく」という素朴で明るい未来を本気で信じていたのだろうと思われる。今となっては絶対にこの手の映画は作られない、その意味では貴重。

②「両棲人間」«Человек-амфибия»
ゲンナージー・カザンスキー/ウラジーミル・チェボタリョフ監督1961年ソ連

★おごった人間の「産物」に酷い結末。人類はどう責任をとるつもりなのか?重い内容だが、やはり妙に明るい進歩史観。①と同じくべリャーエフ原作のジュブナイル(児童文学)。『映画に学ぶロシア語収録。

③「宇宙飛行」«Космический рейс»
ヴァシリー・ジュラヴリョフ監督1935年ソ連

基本的には真面目なSF映画(宇宙飛行士なのに遅刻するなよ、などと突っ込めるが。宇宙飛行の父、ロケットの父と称されるコンスタンチン・ツィオルコフスキー監修なのだ)。悪人はいないし、ラストでおおいにほっとする。必見。と言って何度も観に行っている私はいい加減DVDを買うべきではないだろうか?

「妖婆 死棺の呪い」«Вий»
アレクサンドル・プトゥシコ監修コンスタンチン・エルショフ、ゲオルギー・クロパチェフ監督1967年ソ連
原作:ニコライ・ゴーゴリ著『ヴィー』(岩波文庫『昔気質の地主たち  附 ヴィー(地妖)』収録)

★ゴーゴリの原作は十分怖いのかもしれませんが…怖くない!妙に明るいホラー映画になっています。且つウクライナの田園が美しい。ナターリヤ・ワルレイはとにかく異界の美女がよく似合う。ソ連の特撮王プトゥシコ大好き、大必見!

「不思議惑星キン・ザ・ザ!」«Кин-дза-дза! »
ゲオルギー・ダネリヤ監督1986年ソ連

★マシコフおじさん=ロシアの二枚目スタニスラフ・リュプシン(「私は二十歳」«Мне двадцать лет (Застава Ильича)»1965年)のスラーヴァ、ミハルコフ監督の「五つの夜に」«Пять вечеров»1978年)、「剣と盾」«Щит и меч»シリーズ(1968年))。人が変ったようにクー!しているのが衝撃的!すばらしい。『映画に学ぶロシア語』収録。アニメーションでのリメイク進行中。

「日陽はしづかに発酵し…」«Дни затмения»
アレクサンドル・ソクーロフ監督1988年ソ連
原作:ストルガツキー兄弟著『世界終末十億年前』群像社

★タルコフスキーがそうだったように、原作の雰囲気だけ借用して、後は自分の世界を作ってしまっているソクーロフ。トルクメニスタンの沙漠が暑くて暑くてたまらなそうで、観ていて辛いただただ不条理の世界。

UFO少年アブドラジャン」«Абдуладжан, или посвещается Стивену Спилбергу»
ズリフィカール・ムサコフ監督1992年ウズベキスタン

★おっかないけど愛情深いおっかさんのホリダ(トゥチ・ユスポワ)が魅力的!それに比べておとっつぁんのバザルバイは日和見の小心者!コルホーズの農民たちが農機具返還を求めて議長に詰め寄る場面、クーワ・カエセ(鍬、返せ)!」と聞こえるので耳を澄まそう。UFOに出会いたかった将軍は「モスクワは涙を信じない」の監督さん。「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」にもオタク役?で出演していましたね。

「ベルリン陥落」«Падение Берлина»
ミハイル・チアウレリ監督1949

★スターリン礼賛映画の典型として筆頭に挙げられるのがこの作品。娘のソフィコはパラジャーノフやサディコフ等なかなかアヴァンギャルドな、というか反体制な作品に出演していますが。なお、日本語のウィキペディアには「ソ連初のカラー映画であった。」と謎なことが未だに書かれています(ソ連のカラー映画第一号はニコライ・エック監督の「うぐいす グルニャ・コルナコーワ」«Груня Корнакова (Соловей-соловушка)»1936年)。

0 件のコメント:

コメントを投稿